脊椎固定が不要な脊椎手術

はじめに 腰部脊柱管狭窄症や椎間孔狭窄症の手術では、腰椎の固定術を勧められることが多いと思いますが、はたしてこれが本当に良い治療法かという点については、専門家の間でも議論のあるところです。私自身は、脊椎手術の専門家として、過去25年以上低侵襲な除圧術を行ってきましたが、固定術が必要になった症例はほとんどありません。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?本記事では、この点について解説し、私が行っている低侵襲な除圧術について紹介したいと思います。 概要 固定術の歴史 固定術の問題点 固定術は必要か? 低侵襲な除圧術の考え方...

脊椎手術(頚椎、腰椎)の費用はいくらかかる?

頚椎や腰椎などの病気で、手術が必要だといわれたものの、費用はどのくらいかかるのだろう、とお悩みのかたもいらっしゃるかもしれません。この記事では、頚椎症の手術にかかる、おおよその費用と入院期間について説明します。この記事を読めば、ご自分の場合に、どのくらいの費用がかかるかがわかると思います。 高額療養費制度で、手術と入院にかかる費用の上限は決まっている...

腰椎椎間孔狭窄症の診断

腰椎椎間孔狭窄症は、診断が困難なことで知られています。私も、この病気の診断には、大変苦労をし、いろいろと試行錯誤を続けてきました。今回の記事では、何故この病気の診断が難しいのか、そして、私の現在の診断方法について解説したいと思います。 腰椎椎間孔狭窄症の症状 腰椎椎間孔狭窄症の画像診断 Thin-slice MRI 神経根ブロック 症状...

上殿皮神経絞扼による腰痛

上殿皮神経という、聞きなれない名前の神経がありますが、この神経が、実は、腰痛の原因の一定の割合を占めていることが、最近わかってきました。まだ、外科医一般にはあまり知られておらず、診断がつかずに見逃される場合が多いようですが、正しく診断して、治療をすれば、症状を劇的に改善することができます。 本稿では、この病気について、以下のように説明してみたいと思います。 上臀皮神経絞扼とは何か? なぜ、診断が難しいか? どのように診断するか? どのように治療するか? 上臀皮神経絞扼とはなにか?...

腰椎側湾症に伴う椎間孔狭窄症

腰椎側湾症とは、腰椎が前から見た時に、左右に傾いたり、S字状に変形したりしている状態のことを指します。脊椎の側湾症には、思春期に発生するものと、高齢になって脊椎の変性によって発生するものの2種類がありますが、本日の記事では、後者について述べます。腰椎側湾症という病気があります。本記事では、以下の内容で、この病気について解説します。 腰椎側湾症と椎間孔狭窄症の関係 腰椎側湾症の治療 椎間孔開放術の問題点 現状と今後の展望 腰椎側湾症椎間孔狭窄症の関係...

Failed Backと腰椎椎間孔狭窄症

Failed backとは、英語で、「失敗した腰」という意味で、腰椎の手術をした後に、症状がよくならなかったり、むしろ悪化したりした状態のことを指します。腰椎の手術は、100%成功するというわけではありませんから、一定の確率で、そのような結果となるのは、ある意味仕方がないことかもしれません。幸いなことに、わたくしのところの手術で、Failed backというような状態になることは、きわめて稀で済んでいます。 Failed...