頚椎椎間孔狭窄症とは
頚椎椎間孔狭窄症とは、通常の頚椎症とは異なり、頚椎から神経が出てくる穴(椎間孔)の部分が加齢などの原因で狭くなり、神経が圧迫される病気です。通常の頚椎症に比べて診断が難しく、放置されてしまうケースをしばしば目にします。
症状
症状は、肩や腕に放散する強い痛みやしびれで、ひどい場合には、筋力の低下を伴います。安静や鎮痛剤の服用でも症状が軽快せず、日常生活が障害される場合には、手術が必要になります。
診断
この病気の最大の問題は、診断が難しいところです。私も、脊椎関係の手術を専門にするようになってから、20年以上になりますが、この病気の診断には注意を要します。
何故診断が難しいかというと、病変が小さく、通常のMRIの解像度では、椎間孔で圧迫された神経を、はっきりと確認することが難しいためです。
頚椎症が疑われた場合、頚椎のMRIを撮影しますが、通常は、スクリーニングといって、一般的な頚椎症が診断しやすいような撮り方をします。しかし、この撮り方だと、椎間孔が撮影範囲からはずれてしまうこともよくありますし、撮影面の厚みが厚すぎて、椎間孔がよく観察できません。
頚椎の椎間孔をよく観察するためには、撮影面の厚さを1mm程度に薄くして、連続した断面を撮影し、よく観察することが必要です。それでも、診断には、熟練を要します。
圧迫の原因としては、小さい椎間板ヘルニアがとびだしたものが神経を圧迫する場合と、長い時間をかけて変形した骨が圧迫する場合があります。
治療
治療は、まず薬などで保存的な治療を行います。椎間板ヘルニアの場合は、自然治癒も期待できます。しかし、変形した骨が圧迫している場合は、自然治癒は難しいでしょう。
しかし、幸いなことに、診断さえ正確につけることができれば、手術をすることで、症状を劇的に改善することができます。
X-JapanのYoshikiは、アメリカで人口椎間板の手術を受けましたが、それが良い選択だったかどうかは疑問です。というのは、人口椎間板の手術成績は、必ずしも普通の頚椎前方固定術とあまり変わらないからです。
多くの場合には、前方除圧固定術という手術が、良い選択になります。全身麻酔で、頸部の皮膚を5cm程切開し、病変部の椎間板を切除して、神経を圧迫している骨の出っ張りを削除します。その後で、椎間板の代わりに、チタン製のケージとよばれる支えを挿入して、骨を固定します。
2−3時間かかる手術ですが、手術は、顕微鏡を使ったデリケートなものですので、熟練した脳神経外科医がを探されるのがよいでしょう。下記ページもご参照下さい。
10ヶ月程前に大学病院で頸椎神経根症の後方椎間高拡大手術を受けましたが痛みと痺れが軽減しません。
先生の所で再手術可能でしょうか?
4/5 6/7 2カ所の右側です。
宜しくご回答の程お願い致します。
私のところでは、そのような再手術も多く手掛けています。
外来にいらしていただければ、診察の上、治療を提案させていただきます。
張 漢秀
アメリカ在住です。頚椎症性神経根症が両側にあり、また、頚部脊柱管狭窄症とも診断されました。超音波メスでの手術を知り、手術するならその方法でと思っておりますが、こちらでは難しいようです。先生のところですべての手術を一度にしていただくことは可能でしょうか。
ひどい神経の痛みはおさまってきましたが、午後になると背中や首の下の方が痛くなってきて、肩や腕にも痛みが広がります。神経が緊張し突っ張っている状態が続き、痺れもあります。
何卒よろしくお願い致します。
コメントありがとうございました。
もちろん、ご希望でしたら手術は可能です。ただ、保険の問題もありますし、術後経過の観察も必要です。手術は100%というわけではありませんので、その点も慎重にお考えください