いろいろなつらい症状があって、手術を受けることを

考えておられる方も多いと思います。

そうはいっても、手術はこわい。

これはよくわかります。

しかし、手術を受けなければ症状がよくならないという場合も多いでしょう。

きょうは、手術を決断する時に役に立つことをお話ししたいと思います。

症状はつらいのか?

まず、第1に考えるべきことは、今の症状がつらいかどうかです。

「少し手がしびれるけれど、特に生活に支障はない」という場合もあるでしょうし、

「腰が痛くて、10歩も歩けない」という場合もあるでしょう。

あるいは、「手足に力が入らなくて、立つこともできない」という重症な場合もあると思います。

大事なことは、今の症状が、生活にどの程度影響を与えているかを、

ご自分で冷静に考えてみることです。

症状があっても、生活に大きな支障がないのであれば、

多くの場合に、手術をする必要はありません。

放置した場合どうなるのか

次には、放置した場合に、どうなっていくのかを知ることです。

このためには、現在の症状が、どの程度のスピードで

悪化しているのか、ということが、判断の材料になります。

例えば、この2週間のうちに、急速に症状が悪化している、

というような場合、放置した場合は、さらに悪化することが

容易に予想されます。

逆に、この半年、1年、症状は変わらない、というのであれば、

放置しても、おそらく症状は進行しない、

と考えられる場合が多いでしょう。

外科医は信用できるか?

とはいっても、専門家でないひとが、病気の進行を予測することは

むずかしいので、そこは、専門家である医師に相談する

ことになります。
その場合、その医師をどれだけ信用できるかということが

問題になりますね。

手術を受ける際に、一番大切なことは、医師と患者との信頼関係です。

患者さんも、医師を信頼できなければ、手術を受けるという

決断をすることはできないでしょうし、

医師のほうでも、患者さんから信頼されていなければ

手術をすることはできないのです。

私がぜひお勧めしたいのは、疑問に思うことを、徹底的に

質問してみるということです。

これは、患者さんの当然の権利なのですから、

何も遠慮する必要はありません。

良心的な医師であれば、かならず、丁寧に答えてくれる

はずです。
逆に、十分に答えてくれないような医師であれば、

少し、疑ってみたほうがいいかもしれません。

整形外科?脳神経外科?

手術を、整形外科で受けるか、脳神経外科で受けるかも、

重要なポイントです。

脳神経外科で脊椎の手術をやっていることをご存じない方も

多いかもしれませんが、世界的には、ふつうのことで、

日本でも、脳神経外科で多くの手術がなされています。

いろいろな歴史的経緯もあり、整形外科と脳神経外科では

考え方も、手術の方法も、かなり違っているのが現状です。

脳神経外科では、症状を起こしている神経を正確に特定して、

顕微鏡を使った手術で、できるだけ侵襲の少ない手術で

神経の圧迫を取るという考え方であり、

整形外科では、どちらかというと、脊椎の骨を正しい形に

戻すという考えが強いですので、固定の手術が多く行われる

ようです。

よく、医師の説明を聞かれて、納得のいく方を選ばれるとよいと思います。

ちなみに、日本の脳神経外科では、脊椎手術を専門に行っている

医師が少ないのが、残念ながら現在の状況です

もし、脳神経外科医の意見も聞いてみたいとお考えでしたら、

こちらのページから、

お近くの、脳神経外科の脊椎専門医を、探してみてください。

さいごに

ごく簡単ではありますが、脊椎の手術を決断するにあたって

お役にたてる情報を、お書きしました。

おもに、頚椎症や腰部脊柱管空洞症などを念頭に

書いてみましたが、実際には、脊椎には、多くの疾患が

ありますので、そう単純ではありません。

もし、お困りの方がいらっしゃれば、私に個人的に

ご相談いただいても構いませんので、メールでご連絡ください。

個別の疾患については、私のホームページも参照ください。

アドレスは、ホームページ上に記載してあります。

ご病気でお困りの方に、すこしでもお役に立てれば幸いです。