腰部脊柱管狭窄症に対して、多くの場合に固定術が行われています。椎体にスクリューを挿入してロッドで固定する手術です。しかし、この固定は、本当に必要なのでしょうか?

ただし、神経の圧迫を侵襲の少ない方法で取り除く技術が必要です。

私の考えでは、ほとんどのケースで、固定は必要ないだろうと思われます。

神経の圧迫を取り除く手術(助圧術)を行えば、腰痛や下肢痛の症状は軽快します。しかし、その過程で、骨を削ったり、靭帯を取り除いたりするため、術後に脊椎の安定性が損なわれる可能性があります。これを防ぐ目的で、固定術が行われます。現在では、スクリューやボルトなどの金属が用いられます。

しかし、理屈はそうであっても、実際に理屈どうりのメリとがあるとは限りません。それを確かめるためには、臨床試験という者を行なって、固定をしなかった患者さんと、固定をした患者さんを比べ、実際に固定をした患者さんの方が結果が良いということを証明する必要があります。

しかし、驚かれるかもしれませんが、これまでの臨床研究において、固定をすることでメリットがあるという証拠は、実は極めて乏しいのです。

 

ですので、私の考えでは、除圧の手術を、十分侵襲少なく行えば、術後に脊椎の安定性が損なわれることはなく、固定をしないでも、良い結果が得られるだろうと考えています。実際に、私の過去の手術成績は、非常に満足すべきもので、固定の必要性は、ほとんどの場合に感じられません。

低侵襲な除圧術と、その成績については、また、稿を改めてお伝えしたいと思います。